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杭州安吉旅行  2009720日(月)〜723日(木)

去年の新疆ウイグル自治区の日食が曇ってしまったので、今回も不本意ながら中国へ行くこととなってしまった。もちろん46年ぶりに日本で見れるとあって、鹿児島県トカラ列島へ行きたかったのは当然だが、競争率が極めて高く、テント生活でも1人40万円もかかる始末。逆にお金を出しても抽選に当たらねば参加できないという驚きの状況だった。反面、中国なら武漢から上海まで広大な地域で観測可能とあって、ツアーも多く、値段も二人で30万円かからない。かくして今回もまた中国へ行くハメとなってしまった。これで3回目の中国旅行(ヒロシは4回目)。旅行社は西鉄観光という九州の会社、何故か事務所は東京にあり、羽田出発のコースもある。2月中に早々と予約した。観測地は上海の西方200kmくらいの浙江省安吉県というところの「大竹海渡假村」というホテル。グーグルアースで調べると、北緯30.528°東経119.679°の地点、日通旅行のツアーが行く天荒坪ダムの北東10kmほどの地点だった。

 

7月20日(月)(第1日目)

浜松町からモノレールで羽田空港駅へ、快速だと早い。第2ターミナルから国際線ターミナルまでバスで移動。カメラや三脚、レンズ、簡易赤道儀などでいつも20kgを越えているから、いよいよスーツケースも傷みがひどくなり、キャスターのコマが割れてしまったので、今回はキャリーを取り付けて移動した。おかげで極端な移動速度落ちとならず、スムーズに移動できた。国際線ターミナルは現在別に建設工事中であり狭い。日食ツアーの人々で一杯だった。X線検査機の数もチェックインカウンタの数も少なく、行列を作って並んでいる。誰か有名タレントが来たので、狭いところに急に追っかけ人(女性ファン)が増加してにわかに混雑した。中国元を両替したが、100元札しかなく100元だけ両替した。1580円なり。中国についてから旅行社の両替で1人5000円ずつを元に両替換えしたが、こちらは340元×2でレートは少し良かった。結果的に殆ど使う場所がなく、最後の上海の空港で消化することとなる。飛行機は上海航空(FM816便)だが、全日空と中国民航の3社のコードシェア便だった。同じ時刻に上海行きがあるのでおかしいと思った。上海の国内線?虹橋空港へ到着後、バスにて杭州へ向かう。中国の景色も見慣れているので、特に違和感なく外国という感じがしない。高速道路で約3時間、杭州に到着。この日だけは夕食が付いていない。どこかで食べる間もにままホテルについた。もしかしたら食べるチャンスがないと予想し、カップ麺と多少のおやつは用意してきたが、やはり何か食べないと。幸い50mほどのところに「可莎密兒」Casa Mielという洋風のパン屋さんさがあったので、そこでパンとサンドイッチと豆乳を買って帰り、ホテルで食べた。ちゃんと洋風味がしておいしいパンだった。

 

7月21日(火)(第2日目)

午前中は特に予定はなく唯一の自由時間。中国との時差は1時間だが殆ど差を感じない。そのまま7時までに起きて朝食。すぐ向かいにマルコポーロホテルというのがあって、昼飯はそこのレストラン。朝食後すぐに西湖の観光に出かける。結構大きな街であり、湖畔にハイアットリージェンシーがあり、その横にショッピングモールがある。ブランド店に混じって日本の無印良品もあった。湖畔の公園を1時間歩いて、西湖十景と呼ばれる昔からの漢詩に詠われた中国屈指の名勝を訪ねる。最初は断橋残雪といわれるところ、次いで平湖秋月。このあたりは砂洲のように細い道が湖の中をわたっている。蓮の花がきれいに咲いていた。途中で翌日同時間の日食観測の準備をしている人達を見かけた。おそらく日本人と思しき団体。少し先に行くと中国のテレビ局の中継車が場所取りをしていた。ここの景色はサマになると思われる。楼外楼という建物まで行き、ここで引き返す。また歩いて1時間かかる。途中にマロコポーロの銅像が建っていた。中国も最近は自転車でなく電気自転車かミニバイクに変わっている。特にバッテリモーターの電気自転車が多い。

街の温度計は29度を指しており朝から暑い。ホテルに戻る途中のアイスキャンデー屋でかき氷を買った。ヨーコはマンゴージュース、私は抹茶金時。しかし言葉が通じないので発注が難しい。ちょうど英語のメニューがあったので、指差し注文。しかしマンゴーは通じたのに私の英語は通じない。若い女の子が次の客として来たので発注が未達なのが分かった。中国語で伝えてくれた。あれほど生水は禁止と言われていたのに、町中のかき氷屋でジュースを買うとは危ないことをしたものだ、でも美味しかったし、結果論だが下痢もしなかった。あまりに暑かったから仕方がない。ホテルに戻ると、すぐに昼食。クーラーも効かない暑い中での中華料理。三食中華だといやになる。

この日は観測地まで移動するだけの短い旅。余りに暑いから途中の高速道路で 車が燃えていた。若干渋滞したがオーバーヒートが原因で1台の乗用車 全焼していた。

観測地のホテルで大野裕明氏の講義があった。日本でも聞いていたけど、他に行くところがないからまた聴いた。このツアーだけでも200人くらいはいただろう。バスはいろんなルートから6号車まであった。

次の日の観測場所を下見し、方位角と高度を調べた。磁気偏角はこの辺りでは西に数度かほぼ0°だろうと予想した。去年の新疆ウイグル自治区では東6度くらいだったから驚いた。グーグル地図と現地を合わせると西数度と思われた。

安吉の街に戻って、食事前に街の中をぐるっと回る。ホテルの隣のビルは中国移動体通信で、この周りは携帯電話の店がやたらに多い。秋葉原のような小さなジャンク屋が並んでいる。外出の目的は缶ビールを探すこと。かろうじて1軒あったが、バドワイザーなので不可。我々が探しているのは中国の地元のビールだ。中国語で缶ビールは何というのだろうか、説明できなかった。ホテルにもビールはあったがどれも瓶ビールで缶ビールがない。このとき新聞スタンド(キオスク)に日食グラスの宣伝があるのを見つけた。初めて日食らしい情報に触れた。

 

7月22日(水)(第3日目)

いよいよ日食当日。5時に起きて食事、6時出発。全天曇り。バスに乗るときには雨が降ってきた。全くいやな予感。それでもあと2時間の間に晴れることを願う。大竹ホテルについて、設営開始。曇っているのに黙々と作業をするが、気が乗らずはかどらない。それでも雲は次第に薄くなり明るくなってきた。8時20分第一接触が始まる。今回は初めて連続撮影に挑戦した。ここで、前代未聞の事件が起こり意気消沈。メインカメラの一眼レフデジカメが動かない。エラー状態でシャッターが下りないのである。やむなくヨーコのフィルム一眼レフを借りる。が、残念ながらコロナは完全な露出不足となり失敗した。もう一つ初めての試みとして、皆既中のカメラムービーにトライ。これはサイバーショットの動画モードで結構上手くいった。おまけに音まで入っているので後で聞くと臨場感がある。若干不便なところは動画撮影中にズームが効かないこと。望遠にしてもあまり大きくならず、1.5倍のテレコンバータを取り付けた。出発前にヨーコはサイバーショットをもう1台衝動買いした。手ぶれ防止が付いているからとのこと。画素数は1200万もあり、ヒロシの一眼レフ(640万画素)より多い。このカメラも動員して動画撮影の予備とした。

今回のカメラ撮影が失敗だったことから、後日談だが、ヒロシは帰国後に一眼レフ(1020万画素)を衝動買いすることになった。

さて日食は順調に進行し、皆既になると殆ど真っ暗になった。周りの街灯やホテルのネオンサインが点灯し、夜のようになった。うす雲が掛かっていたこともあるが、コロナは予想外に小さく暗かった。これがフィルムカメラの失敗理由。皆既終了後に急いで片付けてホテルに戻って昼食。食事中にヨーコの携帯に三男から日食どうだった?と電話が掛かった。このモトローラのFOMA(3G)は中国では使えないと思っていたのでビックリした。一体いつから電話が使えるようになったのだろうと不思議だった。気が付けば窓の外では、大雨が降っている。太陽は日食の最後まで見えていたのに、わずか2時間後には大雨になるとは。大変なラッキーだった訳である。

昼食後直ちにバスで湖州市を経由して高速道路で上海へ向かう。3時間程度で着くはずだったが予定より早く到着した。しかし、ホテルの団体チェックインがまだ準備中との理由で、しばらく上海市内をあてもなくバスで揺られて時間潰し。そんなことなら市内観光でもしてくれればいいものをと、腹が立った。結局他のグループの同時到着を待って、チェックインとオプショナルツアーの出発時刻を合わせる為の旅行社の都合によるものだった。この日も夕食がなく、黄浦江クルーズや上海料理のツアーが組まれていた。私達は無料のショッピングツアーがあるというので、それに参加した。途中で必要な買い物をしたいと思っていたが、自由行動がなく結局は日本語OK、カードOKの高級土産店に連れて行かれただけだった。しかし有料のツアーも雨降りの夜の上海では何も見えないと思う。石好きのヒロシにとっては人の背丈を越える巨大な芸術品(ヒスイの船とか菊花石)が展示してあり、確かに見ごたえはあった。それ以外に見るものも買う物もない私は行き返りのバスからホテル近所の地理を覚え、コンビニとレストランを探した。最悪はホテルのレストランでと、覗いてみたがお腹も空いてないので、近くに買いに行った。すぐにコンビニを発見したが、何とファミリーマート(全家)があった。

中華の脂っこさに辟易していたので、サンドイッチとサラダとおにぎりと期待の中国製缶ビールも買ってホテルに戻った。しかも2人分のビール付き夕食がデザート付きで500円。5つ☆の高級ホテルに泊まりながらコンビニ弁当で済むとは! これにはヨーコも大満足。中国元が消化されずに残ってしまった。確かビールが40円くらいだった。上海は都会だから物価は高いと覚悟していたが、日本とはまだ随分開きがある。これでは日本の企業は太刀打ちできないことを実感する。人々が生活するマンションの価格は杭州あたりでも今は2000万円〜3000万円というから東京と余り変わらない、上海だと東京より高いかもしれないと思っていた。面白いことに、中国には100円ショップがなく、折り畳み傘や自転車は

日本より高いらしい。工業製品はダメだが、食料品と工芸製品は中国の方が圧倒的に安い。

 

7月23日(木)(第4日目)

早朝に起床。630分には空港に向け出発。この日は日本へ帰る飛行機は大混雑で、空港はまたもごった返していた。今回の旅行は観光がなく移動のみ。残った大半の元を空港売店で使う。ブックストアで日食を報じた中国語の新聞を買った。1元(約15円)だった。日本なら100円はするだろうな。ところがお土産のお菓子には日本並みの値段がついている。日本人しか買わないからだろう。因みにヨーコの新型サイバーショットは35千円もする。日本よりかなり高値だった。ソニーブランドというだけで中国では高く売れるのだろう。

3時間弱のフライトで無事羽田に到着。京急で品川経由にて帰宅。16時には家に戻っていたから、心は重かったが、身体の方は旅の疲れもなく楽であった。