小林・益川先生ノーベル物理学賞受賞記念シンポジウム 2009年2月21日(土)
天文ガイドの3月号に日比谷公会堂で無料シンポジウム「小林・益川理論とその検証」の記事が出ていたので、早速ネットで予約した。難しい素粒子論をどのように説明してくれるのか、楽しみにしてYoと二人で出かけた。1時半から5時半まで4時間にも及ぶシンポジウムで、パネル討論の司会は立花隆でありこれも楽しみだった。
早めに出かけて聞き入るつもりだったけど、講演が始まるやいなや、訳の分からない話にすぐに睡魔に襲われ、結局半分くらいは寝ていたのではないかと思う。先生方に失礼過ぎたと反省。それにしても物理学者は話が下手で、全く分からずに退屈してしまった。
話の内容は、小林・益川理論の紹介と高エネルギー加速器研究機構KEKの検証に対する取り組みであった。4人の講演を聞いた後、パネル討論に入った。
受賞論文(1973年)はわずか6枚の短いもので、行列の数式がやたらと並んだものだ。これによって、行列の変換係数に複素数が入ることを示し、当時3つ(アップ、ダウン、ストレンジ)しか発見されていなかったクォーク(注1)が6種存在すればCP対称性(注2)が失われることが説明できると結論付けた。その後、チャームとボトムの2つのクォークが発見され、1995年に最後のトップクォークが発見され理論の正しさが証明された。
筑波のKEKでは直径1kmの加速器でB中間子を大量に作成し、ボトムクォークを含むB中間子の崩壊と反B中間子の崩壊時間に差が生じCP対称性が破れることを実証した。これがノーベル賞の受賞に弾みをつけたとされる。
日本の科学技術の高さは世界的レベルであり、国の予算で成果を挙げていることを宣伝する意味合いの強い催しだった。主催は高エネルギー加速器研究機構。
(注1)
クォークとは、素粒子(陽子や中性子、中間子など)を構成する基本的な粒子でであり、1つの陽子や中性子は3個のクォークで作られている。中間子はクォークと反クォークから作られている。1つのクォークは+2/3または-1/3の電荷を持っている。
(注2)
CP対称性とは、CはCharge
Conjunction(荷電共役)反転のこと、PはParity(空間)反転のことで、それぞれ反転しても通常は粒子と反粒子との間で性質に違いはない(対称性があるという)が、CPを同時に反転するときに粒子と反粒子とで挙動が違うことが発見された。これをCP対称性の破れという。