イギリス旅行  2011714日(木)〜719日(火)

 

3年続きの日食旅行であったが、今年の夏休みは日食がない。それで5年振りにヨーロッパ旅行となった。ヨーコの希望により、ストーンヘンジとグリニッジ天文台ということで、行先はすんなり決定された。コース選択と価格の点でクラブツーリズムのツアーにした。ポルトガルの財政危機に端を発して、ドル安に加えユーロ安となり、極度の円高が進行し、1ドル=78円。ところが一頃安めに落ち着いていた燃油サーチャージが5万円と結構高かった。1ポンド=130円だが、両替レートは約139円。

 搭乗72時間前からWEBでチェックインできるとあったので、会社からまず携帯でチェックインにトライした。しかしJALのホームページは重すぎて時間がかかるばかりで、じっともページが開かない。長い時間掛って結局容量が多すぎてダウンロードできませんとエラーになった。チェックインのページにたどり着くこともできない。やむなくPCにてWEBチェックインしたが、二人離ればなれの席しか指定できず、今後に要交渉の課題を残した。

 

7月14日(木)(第1日目)

平日朝の出発なので、通勤ラッシュを予想していたが、それほどは混んでいなかった。東京駅8:00のN’EXで成田空港第2ターミナルへ。今回は観測機材がなく荷物は小さなキャリーバッグ一つ14kgで楽勝。しかし前述のWEBチェックインでの持ち越し課題のためJALのチェックインカウンタで交渉するも、全席満席につき変更できないとの回答。3日も前に苦労して客に操作をやらせておいて、一体これが客のためのサービスなのかと頭に来た。こんな会社はつぶれるぞ!と思ったがもう潰れたあとでした。添乗員も事前に情報をくれたらいいのに・・。出発時からして気分が悪い。結局は、JALの方で席を替わってもらえる相手を見つけ、二人は隣接の座席に落ち着いた。

これが無理なら、直接交渉しようと思っていたHとYの間には、韓国人の若い女性がいた。交渉の必要はなくなったが、隣から彼女の操作するスマートフォンやPCを覗き込んだ。ハングル文字でも入力はアルファベットのようで、左から横書きし、やはりカナ漢字変換のような操作をし、数文字入れると候補の単語が出てくるので選択する。WINDOWSの日本語操作と似ているようだ。飛行機は11時45分発で新潟、北海道の西を北上しシベリアに入り、北極圏を通過。なかなか眠るタイミングとならない。映画を見たりTVゲーム(数独、麻雀etc)しているとロンドンについた。バスに乗ってターミナルへ、ちょうど上海からの便と同着で、入管事務所は大混雑、以前ハワイに行ったときのような行列。いきなり中国人パワーに圧倒された。

 

7月15日(金)(第2日目)

この日は我が旅行のメインイベント、ストーンヘンジへ向かう。事前に天文考古学の本とTVの番組で事前学習。世界不思議発見でもハリーポッターのクイズでストーンヘンジが登場した。さて、出発時間になってもバスがこない。30分遅れで特別仕様のサッカーチーム専用送迎バスがやってきた。対面4人掛けの対座シートでテーブル付き、宴会用バスのようで、キッチンがあり、トイレ、冷蔵庫はもちろん電子レンジや流しもある。予定のバスがパンクのため来れなくなって代替えバスを探したとか。オックスフォードのSAでトイレ休憩し、田舎のコッツウォルズ地方へ。ロンドンから180kmほど西で、中世の田舎の村がそのまま残っているという。日本だと白川郷か。テットベリーとカッスルクームを訪問。テットベリーではチャルーズ皇太子の経営しているハーブの店があった。古い羊毛の産地でチッピングステップスという昔の市があった場所がそのまま残っているという。そこまで景観を保存するなら、テレビのアンテナは何とかならんのか。きれいな市場もあった。ここの小さな教会には最後の晩餐を描いたステンドグラスがあった。神父が話しかけてきて、日本からと分かると、なんと日本語のチラシを持ってきてくれた。こんな町にも日本からの観光客がくるのか、これには驚いた。かく言う私めもその一人なのだが・・。カッスルクームもやはり古い街並みだが、ここはマナーハウスと呼ばれる上流社会のアフタヌーンティをたしなむ家がある。しかし昼食代わりに準備された我々のアフタヌーンティは惨めだった。狭いテーブルに押し込められて、うまくもないサンドイッチに紅茶。これは後でアンケートでクレームをつけた一つとなった。古い郵便局がありポストが残されていたが、すでに営業しておらず、ポストには投函しないよう注意書きがあった。

次にストーンヘンジへ向かうが、途中の道が恐ろしく狭い。大型バスがとても入れる道ではない箇所が数か所あった。運転手は初めての道で緊張の連続。カーナビは付いていたのか知らん。他に道がないのか、離合困難な箇所ではバスの前後に長い行列が出来てしまい前進も後退もままならない。前からバスが来たときは、もう絶対に擦ったと思った。

やがて、道が片道1車線両側2車線に戻った時はホッとした。

 

ストーンヘンジが車窓から見えた時は、ついに来たと思った。イヤホンガイドを借りてトンネルをくぐる。ガイドの説明は丁寧で詳しいが聞くのに時間が掛る。さっそく持参したコンパスを出し、偏角は帰国後に調整するとして、写真撮影の方向決定を試みた。ところがここで失敗があった。カメラを持っている左手とコンパスを持っている右手を近づけるとコンパスの針が動く。狙いを定めようとするとその分磁石の方向がズレて方位が決められない。(同じ失敗は、トルコ日食の時に経験していたのにすっかり忘れていた。)

GPSは持って来ていたので、ストーンヘンジの周りを一周し、位置決めは帰国後にgoogle earthで決めることにした。360度回りながら写真を撮った。実感して思ったが、どうもこれは天文施設ではないような気がする。夏至の日の出の方向を示すと言われているが、夏至の測定にそれほど意味がないような・・。

この日はロンドンへ戻るのみ。一日中バスによるツアーであった。

 

7月16日(土)(第3日目)

別のバスが来て、午前中はしない観光。ウエストミンスター寺院からロンドン塔、バッキンガム宮殿とお決まりのコース。忘れていたそれぞれの位置関係を思い出す。ウエストミンスター寺院は先のロイヤル結婚式の影響からかすごい人気で入場チケットを買う行列が長い。前にも入っているが、今度はガイド付きだからよく分かった。著名人の墓が多くあり、印象に残ったのは、ニュートン、ディラック、マックスウエルなどの物理学者。入口の右側にはベーデン・パウエルが眠っている。表の公衆トイレは有料で、ヨーコが日本から持ってきたコインが役に立った。 国会議事堂の前にクロムウエルの銅像が、議会に背を向けて立つ。その正面に向かい合うのが処刑されたチャールズ1世と向き合うのが面白い。 バッキンガム宮殿では衛兵交代式を見る予定だったが、雨が強くなってきたので中止。代わりに騎馬兵の交代(と言ってもレインコートを来ての行進)を見た。時間があるのでバスは遠回りしながらグルグルと街並みを回ってくれた。前に二人で来たのは1993年、一人では1997年で14年前、その時になかった高層ビルやビッグアイが目立つ。ロンドン塔は外から鑑賞しタワーブリッジを見るのみ。ロンドン大火の記念碑も見た。

昼はパブでウエルダンのような厚いローストビーフ、ビールを買うが全然冷えておらずアルコールも3%くらい。気温が低いから冷やさないのかなぁ。

クイーンメアリー・ローズガーデンのバラ園は殆ど散ってしまったしょぼいバラを見る。あいにく雨模様で、結婚式を挙げたカップルが大勢やってくるが気の毒だった。時間が余ったのでリージェントパークの池のあひるを見に行って、運動不足解消に歩く。ところが、集合時間に公園ゲートに戻ってくると誰もいない。ツアーから完全に外れてしまった。こんなことは前代未聞、初めてのことだった。やむなくバスを探しに行こうと思ったが、そのまま待つ方がいいとのヨーコの考えに同意、待つこと15分。ガイドが息を切って戻ってきた。直ちに二人は強く抗議、バスに戻ってご一行に釈明した。このあと、買い物でピカデリーサーカスの三越へ、ここで1時間30分。ストーンヘンジが1時間しかなかったのに、なぜこんな所で1時間半もあるのか。直ちに、脱出してハイドパークを目指すことにした。歩いて片道30分は掛ると思われた。セントジェームスパークから宮殿、グリーンパークを経てハイドパークコーナーに、わずか50mほど公園に入っただけで急ぎ足で戻った。ハードロックカッフェの前には若者が行列を作っていた。途中のブーツでヨーコのコンタクト洗浄液を買った。

夕食は中華街で中華料理。値段が安かったのか量、質ともに良くなかった。

 

7月17日(日)(第4日目)

日曜日だが博物館と美術館はオープン。午前中に大英博物館へ行った。これも14年以上も前のことなので、外観は変わらないが、内部に巨大な円形の建物ができており、驚いた。目的のエジプト、ギリシャを回る。加えて今回は、るるぶやパンフレットに記載のあった、シバ神、中国、インド、モアイ、浮世絵、などを見た。日本では和歌山の銅鐸まで展示されている。昼食はカフェでサンドイッチ。ここは人も多いが、何時間いても飽きない。前はむき出しのロゼッタストーンが、立てられてガラスケースに収まっていた。ミイラの部屋は相変わらず何とも言えぬ臭気が漂う。

午後は歩いて、ナショナルギャラリーへ行った。西側の別館入口から入った。ここでも自由時間はたっぷりあり、最初はゆっくり回っていたが、レンブラントやルーベンスよりもルネサンスからゴッホ、セザンヌさらにモネ、ルノアールなど印象派の人気は高く、近代に近づくほど混んでいた。目標の一つダビンチの絵は、別室の地下?フロアにあって、案内図を見てもよく分からず、素直には行けなかった。

夕食はトラファルガー広場の近くのパブレストランでFISH&CHIPS。パブではビールを自分でカウンターまで買いに行かねばならず、ヨーコの希望でイギリスビールを買いに行った。イギリスビールはアルコールが薄く、味も淡白でうまいとは言えない。国産で何とかスミスのextra coldと言うのがあったのでそれにした。値段は1パイント3.5ポンドだった。2杯目は国は不明だがGuinnessを注文。ヨーコからコインをぴったり3.5もらって買いにいったが、値段を聞くと3.65ポンドだという。やっぱり国産ビールじゃないから高いのだと思った。手のひらのお金を見せて、これしかないと言ったら、店員はしばらく黙って考えていたが、いいよと言ってくれた。そこで、じゃぁ1パイントより少なめでいいと言ったらビールを入れながら笑ってきっちり1パイントを注いでくれた。お互いに意思が通じて笑い合い楽しい思いをした。どこのビールか聞いたら、GuinnessとはアイリッシュBeerだった。

 

7月18日(月)(第5日目)

最終日で午後3時半にホテル集合。それまでは自由時間。7時に朝食、8時に出発。地下鉄のHammersmith駅の自動券売機でZone1,2の一日乗車券を購入。前日に予行演習をしておいたので券売機で買えることは分かっていた。駅員がいる売り場には長い行列。これはなかなか優れものであり、タッチパネルに「日本語」とあり、これを押すと後は不思議なくらいスムーズに購入できた。券売機が1台しかなく朝のラッシュで人が並んでいるしトラブったらどうしようかと内心ビクビク。支払いでカードを選びJRの大人の休日カード(VISA)を入れると認証番号の照会もなくすぐに切符をゲット。地下鉄で30分、タワーヒルズへ行き、DLRDocklands Light Rail)に乗り換えてグリニッジに行った。DLRはモノレールではないが、ちょうど「ゆりかもめ」のような小型の電車、改札口もなく駅に入ると駅員がいた。親切にもどこへ行くか聞いてくれて、乗り換え駅を教えてくれた。ヒロシは「ドックラン」をDog Runs とばかり思っていて、イギリス人も犬が好きで運動させに来るものと思っていた。ちょうど港に面した最近開発された高層ビル街で、新橋からお台場に行くような景色。横浜ならみなとみらいだろうか。英語のDocklandsを見て納得した。

高架を走っていたと思ったら、ほどなく地下に潜った。テムズ川の下を潜るためだが、下車予定のカティサークを乗り過ごしてしまい、グリニッジまで行った。駅が近いことと暗かったので、駅についたと思わなかったことが原因。二人だけの旅ではいろんなハプニングがあり、これもまた楽しい。クレジットカードの使い勝手がよかったので、グリニッジ郵便局へ行って切手を買ったら、カードはダメと言われた。やっぱり役所は不親切。1981年に訪れたカティサークを見に行ったが、2007年の火事で焼失し修復工事が行われていた。時間が限られているため、足早に天文台へ向かう、地図をみて海事博物館の横を抜ける最短ルートを直行するが、公園内は何やら会場の工事中で結局、外周を歩く結果となり400mぐらいのロス。山を登ると天文台があった。10時からのオープンであり先客も多くいたが、扉の前で並んで待ったのは我々が3番と4番目、これを見て人々が並び出したが係の人は、きっちり10時になるまで入れてくれない。さすがグリニッジ標準時だ!なんて感心しながらチケット売り場へ向かう。ガイドブックには無料とあるのになぜ? 無料でないのか聞いたが、有料だという。やむなくチケットを買って、足早に館内を回る、天文といっても子午線上なので子午儀や時計が多い。初代台長がフラムスチードというからすごい歴史を感じる。昔の大きな四分儀から最近の馬鹿でかい真空管水晶時計があって、天体より時計が中心。今でも一部は海軍の時間計測施設になっている。併設ドームには、28インチ(71cm)の屈折望遠鏡があり、イギリスでは今でも屈折では最大、反射望遠鏡を含めても7番目の大きさである。もちろん本初子午線(経度0°)をまたいでの写真を撮影した。(もっともGPSの世界測地系では経度0度はここより東に120mずれているとか)

早々に見学を終えて、今度は先ほど乗り過ごしたカティーサークへ。帰りは別の駅で乗り換えTower Gatewayで下車。ロンドン塔へ行く。すでに日曜日で大勢の観光客。並んでチケットを買って中に入る。すぐにクラウンジュエリーを目指す。すでに行列ができており30分くらい並んだ。歴代国王の金の装飾品はすごいが、やはり戴冠式でかぶる王冠がすごい。これらの展示室は入口自体が金庫の扉であった。王冠の前は立ち止まらないように動く歩道がありこれに乗らなければ良く見えない。でもヨーコはここで大変満足し、ロンドンまで来た甲斐があった。ロンドン塔ではこのあと、何か所かの展示をみたが、武具や武器、兵器、拷問など女性には人気のないものばかり。時間があればタワーブリッジに登って見たかったが、今回は断念し昼食も取らずにホテルに戻った。駅のマクドナルドでバーガーを食べ、スーパーでサンドイッチを買ってホテルで食べた。缶ビールも買ったが1パイント4本単位でしか売ってなくて、これをカバンに詰めた。これだけ2kgは増加。日本への持ち込みは2人だから十分に余裕はあるけど、重たくて・・。

バスは空港へ早くついて、出発まで4時間もある。ヒロシは読書、ヨーコは土産物とウインドショッピング。帰りのゲートがやっと決まって、行ってみたら、またバスゲート。JALも昔ならもっと近いポジションを取れたのに没落の日々。19:15JAL402に搭乗した。

 

7月19日(月)(第5日目)

帰りもまたヨーコは成層圏麻雀、ヒロシは上海とTVゲームに興じる。14:20頃には成田に到着。前日のTV(ロンドンでは日本語の放送が1chあってニュース、天気予報が見れた)で、台風が四国沖にあったが、進行が遅く、成田空港に無事降りた。途中でかなり揺れがきつかったものの、着陸時は風にあおられることもなくスムーズだった。帰りも成田エクスプレスにしたが、指定券がなんと一時間も先。聞けばもう1本あったのが、震災後の節電のために間引き運転で1時間に1本しかない。運が悪いけど、疲れているので安全に帰宅できるのが一番。ロンドンは涼しかったがやはり日本は蒸し暑い。